熱く甘く溶かして

「私もまた制服着たかったな……二人で制服を着たら、あの頃みたいな気分になれたかもしれないのに……」
「……本当にそう思う?」
「うん」
「……智絵里、そこの袋って取れる?」

 恭介は長椅子の足元に置かれていたショッパーバッグを指差す。言われるがまま智絵里が
取って恭介に手渡す。

 すると中から同じようなキャメルのブレザーと青いリボン、青いチェックのスカートが出てきた。

「えっ、これって……」
「妹がいらないっていうからもらってきた。着てみる?」
「き、着たい!」
 
 智絵里がニットを脱ぐと、あることに気付いた。家を出る前に、襟付きの白シャツを着るように指示されたのだ。

「……この白シャツってもしかして……」
「そっ。制服っぽいだろ? 襟があればこのリボンつけられるし」
「……変態」
「智絵里だって変態プレイを楽しんでるじゃん」

 智絵里は反論できずに立ち上がると、渋々リボンを付け、スカートとブレザーを着る。

 その姿を見た恭介は少し緊張した。あの頃の智絵里が目の前に蘇る。
< 104 / 111 >

この作品をシェア

pagetop