熱く甘く溶かして
「私の気持ちにもいつか夜明けが来ればいいなって思ってたの。そうしたら恭介が会社に現れた。私にとっては恭介が太陽で、暗闇にいた私を救い出してくれた」
「……そんなことない。俺にとっても智絵里は太陽だよ。やっと未来に目を向けることが出来たんだから」
「じゃあ二人一緒なら、迷っていても道は開けそうね」
「そうだね……」
二人は微笑み合うと、そっと唇を重ねた。そして智絵里は恭介の耳元で囁く。
「いつか恭介との赤ちゃんが欲しいな……」
「えっ……本当に?」
「恭介となら、大丈夫って思えるの。授かりものだから自分の意思だけではどうにもならないけど、いつかね……」
「……そうだね……でももう暫く二人でイチャイチャしてもいいんだけどなぁ……」
「……それも一理ある」
恭介と再会するまで、私の生活には色がなかった。その日暮らしの生き方をしていたのに、一体どういうことかしら。あなたと一緒にいると、毎日が彩り豊かに輝く。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
「うん」
居場所のなかった私に、帰る場所をくれた。
味わうことがないと思っていた愛情を注いでくれた。
不思議ね……あなたとなら未来が描けるの。諦めていた夢も、二人でなら叶えられると思う。
智絵里は恭介の差し出した手を取り、歩き始めた。