熱く甘く溶かして
「……いいよ」
すると恭介は智絵里の顎を指でそっと上げると、触れるくらいのキスをした。軽いキスが何度も降り、次第に唇が重なる時間が長くなる。
恭介の舌が智絵里の唇をなぞりだすと、智絵里はうっとりと目を閉じた。ゆっくりと舌が絡みだす。
彼の舌が智絵里が中に入ってくると、もっと欲しがってしまう自分がいた。私たち、今唇で繋がってるんだ……なんかいやらしいのに、すごく幸せなの。
恭介の息が徐々に荒くなり、キスも貪るように激しくなっていく。智絵里はそれが心地よく、身体中が溶けてしまうくらい気持ちが良かった。
恭介の言う通りかもしれない。キスは好きな人とする特別な行為。恭介とのキスは嫌じゃないし、されるたびに愛しい気持ちが募っていくようだった。
でもそれは今まで二人が積み重ねてきた時間があったからこそ。きっと心のどこかでは恭介は誰よりも特別な存在で、友情においても愛情においても、彼を超える存在には出会えないとわかっていた。
彼に負い目を感じていた。でもそれは彼に会いたい自分の気持ちを抑え込むための隠れ蓑だったのかもしれない。
「恭介……」
そのことに気付いてしまえば、彼により溶かされている今なら認めることは容易だった。
「ん……?」
恭介の甘い声が耳に響き、智絵里は体の芯から震える。
「恭介のことが好きみたい……キスしてやっと気付いたよ……。友達が楽しくて、心地良くて……でも私も意地っ張りだから認められなくて……今ならわかる……恭介がいてくれたら、それだけでいいって思えるの……」
恭介は智絵里の言葉を聞きながら、少しずつ表情が緩んでいく。泣きそうになりながら、嬉しそうに笑う。
「うん……俺も好きだよ……愛してる。たぶん俺も同じなんだ。智絵里のそばで本当の自分でいられて、自然体でいられたことが当たり前になってた。だから離れてその大切さに気付いた。ずっと心の休まる場所を求めていて、智絵里に再会してここだって思えた。智絵里をずっと求めていた……傷付いた智絵里を守れなかったことは悔しいけど、これから先は俺が守りたいって思ったんだ」
智絵里の目から流れた涙を、恭介が唇で掬い上げる。再び唇が重なり、何度も何度もキスをする。
「智絵里……愛してるよ……」
「うん……私も……」
智絵里は恭介が与えてくれる優しい温もりに包まれ、いつまでもこのままでいたいと思った。