熱く甘く溶かして
 智絵里はボーっとする頭のまま、恭介の体を抱きしめる。耳元に感じる恭介の激しい息遣いを聞きながらドキドキしていた。

 裸の肌が触れ合うのってこんなに気持ちがいいんだ……。恭介の力尽きた姿を見て、かわいいと思ってしまう自分にも驚いた。

「智絵里……大丈夫? 嫌な気分とかない?」
「大丈夫だよ……こういう感じなんだね……」
「まだ智絵里の中に入ってないから、途中だけどね」

 恭介は智絵里の隣に寝転がり、腕を差し出し彼女の頭を乗せた。お互い呼吸を整えていく。

 恭介は私のペースに合わせてくれている。しかも慌てず、ゆっくり……。

 確かにまだ少し怖い。あの日のことを思い出してしまいそうだった。でも反対に、恭介となら最後までしたいとも思う。

「智絵里、お腹空かない?」
「あっ、空いたかも」
「だよね。とりあえずお風呂に入ってからご飯にしよう。今日はビーフシチューとサラダね」
「……こんな時でも、恭介お母さんが健在……」
「はいはい。でもお陰で抱き心地は最高だったけど」
「……ばか」

 二人は余韻を味わうようにキスを繰り返した。

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