熱く甘く溶かして
* * * *

 お腹も満たされ、恭介が入れてくれた緑茶をソファに座って飲んでいた。なんてホッとする時間だろう。

 最後までしていないとはいえ、ようやく恭介と肌で触れ合えた。ただその行為が智絵里の体に火をつけたままになっていた。

 隣でテレビを見ている恭介に寄りかかり、目を閉じる。彼の熱を肌で感じ、彼の匂いに包まれる。すると体が恭介をもっと欲するように熱くなる。

「恭介……」
「ん?」

 普段と変わらない様子の恭介を見て、智絵里は言葉に詰まった。こんな気持ちになっているのが私だけだったら恥ずかしい。

「……なんでもない……」

 その言葉に違和感を抱き、恭介は智絵里を抱き寄せる。

「言いたいことがあるなら聞くけど。それともさっきの続きをする?」

 恭介は冗談っぽく言ったのに、智絵里はマグカップを口に当てたまま固まってしまった。

「えっ、やだ! もしかして智絵里……ちょっとハマっちゃった⁈」
「ちょっ、そ、そういう言い方やめてくれる⁈ そうじゃなくて……だから……」

 智絵里は口を閉ざす。

「……本当はちょっと怖い……でもそれ以上に、ちゃんと最後までしたいって思ったの……」

 好きっていう感情はなんて厄介なのかしら。友達の時の感情や距離感とは全く違う。彼を見つめるだけで、キスしたい、触れたい、この人が欲しい、そんな様々な感情が湧き起こる。

 恭介は優しく微笑む。ゆっくりと智絵里のTシャツの中に手を差し入れ、素肌の上を滑っていく。胸まで到達すると彼の指が動き出し、先ほどの感覚が蘇り息苦しくなった。

「……今度こそちゃんと恭介のものにして欲しいの……恭介と一つになりたい……恭介のこと、大好きなの……」

 恭介は智絵里の顔を自分の方に向かせ、貪るようにキスをする。

「智絵里さ……そんなに煽らないでくれよ……。もう我慢しない、というか出来ないよ……それでもいいの?」

 返事の代わりに智絵里は恭介にキスをする。

「でもソファは嫌。狭いし落ちそうだもん。ベッドがいい……」
「本当に……智絵里ってば可愛すぎる……」

 恭介が智絵里を抱き上げるとベッドまで急いだ。

< 46 / 111 >

この作品をシェア

pagetop