熱く甘く溶かして
「篠田、お前やっぱり知ってるんだな」
「……実はさ、今彼女と付き合ってるんだ。ち……畑山は俺の家にいるよ」
「えっ……マジか。ってか良かったじゃん! そうか、番犬がとうとう騎士にまで昇格したのか! やったなぁ!」
「高校の時の俺って、番犬としか見られてなかったんだな……なんか傷付くわ」
「……お前さ、自分じゃ気付いてなかったみたいだけど、相当畑山さんにご執心だったぜ。だからさ……この話をするのも本当はどうかと思ってたんだ」
「……智絵里から話を聞いた時に、はらわたが煮え繰り返るくらい悔しくて、あの男を殺してやりたいとまで思ったよ。智絵里はずっとあの日のことを引きずってるのに……。あいつは犯罪を繰り返していたなんて……」
智絵里がこのことを知ったら……そう思うだけで怖くなる。
「……来月クラス会があるって連絡きたか?」
「いや……」
「その時に畑山さんに来るように話をしてくれないか? お前を介さず、俺から話を聞くようにする」
「わかった……」
恭介は肩を落とす。智絵里がこれ以上傷付かないよう、俺はどんな時もそばで守ると心に誓った。