熱く甘く溶かして
 二人の息子・真祐(しんすけ)に誘われるがまま、恭介は尚政と共に子供部屋へと遊びに行ってしまった。

「ごめんね、篠田くん連れてっちゃって」
「うん、大丈夫だよ。それにしても真ちゃん、大きくなったね。先輩も良いパパって感じだし」

 一花は嬉しそうに微笑む。

「篠田くんも智絵里のこと大好きっていうのが伝わってくるよ。まさか二人が再会した上、付き合ってるとは思わなかったけど」
「……そうだね、確かにそうかも。この展開には私が一番驚いてる。だってずっと友達だった恭介だよ。もし再会したとしても、この先も友達だと思ってた。それなのに……」

 智絵里は恥ずかしさから下を向いた。いつも強気な智絵里の可愛らしい姿を見て、一花はふと高校生の頃を思い出す。

「……智絵里が学校に行けなくなった時、篠田くんすごく心配してたんだよ。その時になんとなく友達の枠を越えてるような気がしたの」

 一花は口籠もり、少し悩んでから口を開く。
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