熱く甘く溶かして
「むっちゃんこそ元気だった?」
「元気だよ〜。っていうか、篠田くんと付き合ってるの⁈ びっくりなんだけど」
「うん、実はねぇ」
「やっぱり篠田くんから告白した感じ?」
「……なんでそう思うの?」
「だってあの頃から独占欲の塊だったじゃない。智絵里ちゃんの隣は俺以外許さん! みたいな空気漂わせてたし」
「そうかなぁ。その辺のこと、あまりよく覚えてないんだよね」
「でも智絵里ちゃん、部活の時間って男子によく話しかけられなかった? あれってみんな篠田くんのいない時間を狙ってたんだよ。番犬のいない間にあわよくばってね」
「まぁ……でも確かに恭介がいる時って、煩わしいものから解放されてた気がする」
「煩わしいって、智絵里ちゃん毒舌」
そう言って睦月は笑い出す。
「ねぇねぇ、篠田くんって付き合ったらどんな感じ? あれだけ忠犬ぶりを発揮してたし、かなり智絵里ちゃんにメロメロなんじゃない?」
「う〜ん……その言い回しはわからないけど、すごく優しいよ。いろいろわがまま聞いてくれるし」
「きゃー! やっぱり忠犬は健在なのねぇ。なんか萌えるわ〜」
やけに興奮する睦月に、智絵里は苦笑いをする。高校の時の恭介って、こんなにいじられキャラだったっけ? それにしても、恭介が番犬なら私は飼い主ってこと? 考えても想像が追いつかなかった。
智絵里は恭介の方を見る。たくさんの男子に囲まれ、楽しそうに話している。恭介のこういう姿は高校の時は当たり前のように見ていた。二人でいる時の恭介も好きだけど、こうして楽しそうに騒ぐ姿も好きだった。