熱く甘く溶かして

「恭介は子どもは好き?」
「まぁ、好きかなぁ。真ちゃんかわいいし。智絵里は?」
「うん、普通に好き。このまま恭介と結婚して、子どもが出来て、家族が増えたら素敵だなって思う」
「そうだね……」

 一花には言えなかったこと。恭介にしか言えないことがあるの。

「……ただね、自分があんな目に遭ったから、もし自分の子どもが私の目の届かないところで何かあったらって考えると怖くなるの……もし守ってあげられなかったらどうしようって……。恭介にプロポーズされて、母親の一花に会って、未来が想像出来る様になったら急に怖くなった……」
「そっか……」

 恭介は智絵里の体を抱きしめ、そっと頭を撫でる。

「確かに不安になるよな……。ずっと見ていられるわけじゃないし、その子が話してくれるかもわからない。でも子どもの変化に気付ける親になりたいって俺は思うよ。もし子どもが助けを求めたら助けたいし、一緒に戦える親になりたい」
「……一花も同じようなこと言ってたかも……」

 恭介の唇が額に触れる。

「智絵里もさ、一人で抱え込まないでよ。どんなことも共有するって約束。俺たちもちゃんと話し合えるように、なんでも言い合っていこうな」
「……うん」
「さて….温かいご飯を食べるか、それとも一回イチャイチャするか、どっちがいい?」
「……温かいご飯を食べて、洗濯して、掃除しないと」
「……だよね。そう言うと思ってた」
「で、その後にイチャイチャはどう?」
「……智絵里ってさ、一回突き落としてからの返しがハンパないよね」
「嫌ならいいんだけど」
「冗談です。いっぱいイチャイチャさせてください」

 恭介といると、感じている不安が軽減する。それは彼が欲しい言葉をくれるからだと思うの。

 喜びだけじゃない。悩みも不安も分かち合えることが、こんなにも心を安定させてくれる。
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