お見合い婚にも初夜は必要ですか?【コミック追加エピソード】
「あんなか弱そうな生物を二十四時間体制で見ているんだものな」
ママか……。
私は心の中で呟く。
高晴さんは赤ちゃんについてどう思っているのだろう。
お見合いからもう少しで一年、気持ちを伝え合い、真の意味で夫婦になってまだ半年くらい。私は二十八になったけれど、妊娠出産を焦る年齢じゃないと思っている。
何より、私自身も先月から本社勤務になったばかりで結構忙しいのだ。希望していたプレスの部署である広報企画部に配属になり、一からあれこれ学び直している最中。
本社勤務、もう何年か先だと思っていたんだけどなあ。抜擢してもらえたことはものすごく嬉しいんだけれど、キャリア的にすぐ妊娠出産を考えることができなくなってしまった。
……だからこそ、一度きちんと話しておきたい。
高晴さん、妊娠出産についてどう思ってる? 赤ちゃんはほしい? 今すぐじゃなくていい?
お見合いで高晴さんは、子どもはいたらいいとは思うけど私の判断に任せると言っていた。
あれは、私が結婚に前向きになるためのプレゼンだったわけで、本心は違うだろうとは思う。ひとり息子の高晴さんだ。ご両親に孫の顔を見せてやりたいって思いは絶対にあるはず。……わかんないけど! 想像だけど! 優しい高晴さんは、そう考えるに違いないって思う。
「高晴さん……」
私は愛しい旦那さんの顔を見上げる。
「なに、雫」
高晴さんが私を見下ろす。私の表情から何を読み取ったのか、高晴さんは私の右手をぎゅっと握ってきた。
「手が冷たいね。そろそろ手袋がいるかな」
「夜は冷えるようになってきたものね、今度買いに行こう。あ、今夜はあったかいものにしよっか。お鍋か、シチュー」
「いいね。雫の作るシチュー丼、好きだなあ」
「うち、なんでもごはんにかけるのよ」
ママか……。
私は心の中で呟く。
高晴さんは赤ちゃんについてどう思っているのだろう。
お見合いからもう少しで一年、気持ちを伝え合い、真の意味で夫婦になってまだ半年くらい。私は二十八になったけれど、妊娠出産を焦る年齢じゃないと思っている。
何より、私自身も先月から本社勤務になったばかりで結構忙しいのだ。希望していたプレスの部署である広報企画部に配属になり、一からあれこれ学び直している最中。
本社勤務、もう何年か先だと思っていたんだけどなあ。抜擢してもらえたことはものすごく嬉しいんだけれど、キャリア的にすぐ妊娠出産を考えることができなくなってしまった。
……だからこそ、一度きちんと話しておきたい。
高晴さん、妊娠出産についてどう思ってる? 赤ちゃんはほしい? 今すぐじゃなくていい?
お見合いで高晴さんは、子どもはいたらいいとは思うけど私の判断に任せると言っていた。
あれは、私が結婚に前向きになるためのプレゼンだったわけで、本心は違うだろうとは思う。ひとり息子の高晴さんだ。ご両親に孫の顔を見せてやりたいって思いは絶対にあるはず。……わかんないけど! 想像だけど! 優しい高晴さんは、そう考えるに違いないって思う。
「高晴さん……」
私は愛しい旦那さんの顔を見上げる。
「なに、雫」
高晴さんが私を見下ろす。私の表情から何を読み取ったのか、高晴さんは私の右手をぎゅっと握ってきた。
「手が冷たいね。そろそろ手袋がいるかな」
「夜は冷えるようになってきたものね、今度買いに行こう。あ、今夜はあったかいものにしよっか。お鍋か、シチュー」
「いいね。雫の作るシチュー丼、好きだなあ」
「うち、なんでもごはんにかけるのよ」