木苺 ~甘酸っぱいもの~
「ちょっとこっちに来て!」

理由を言わず、茉白は舞雪をリビングから連れ出した。

「ちょっと茉白ちゃん~。
あたし、ご飯食べてたんだけどぉ」

舞雪が唇を膨らませる。

「…今ならまだ怒らないから、正直に言って。
あんた、篠田さんと付き合ってるでしょ」

「な…何言ってんのぉ?
そんなわけ…」

パンッ!

乾いた音が響いた。

「嘘ついてるってバレてるんだよ!
わたし、篠田さんの奥さんと一緒に働いているの」

「…チッ!」

舞雪が舌打ちをした。

「茉白ちゃんなら騙されるって思ったのにな…」

「舞雪…!」

「また手をあげるの?
茉白ちゃん。
暴力は最低だよ?」

舞雪の言葉に、茉白は何も言えなくなった…。
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