木苺 ~甘酸っぱいもの~
エピローグ
‐舞雪(まゆき)のお葬式が終わり、少しいつもの日常が戻ってきた頃、

「茉白(ましろ)、ちょっと出掛けないか?」

父親が茉白の家にやってきて、茉白を外に連れ出した。

歩いている間中、父親は無言だったが、

「茉白、ここ、覚えてるか?」

急に父親が後ろを振り返った。

そこは、茉白が幼い頃、父親に木苺を取ってもらった場所だった。

「ここに舞雪がいればいいのにな…」

葬儀の間も泣かなかった父親が、舞雪が亡くなって初めて見せた涙だった…。


【 完 】
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