木苺 ~甘酸っぱいもの~
「美人で頭も良いのに、耳が聴こえないなんて…」

「でもなんで左耳だけ聴こえないんだろう…?」

「わからないけど、元カレと営業課の田村さんとの修羅場とか?」

「あ~、モテそうだもんね~!」

今までにもこういう事があったから、好き勝手言っている声にも、怒る気力が湧かない。

だけど、

「あのさ、適当な事、言わないでくれる…?」

魁は違ったようだ。

好き勝手言った、茉白の同僚たちに腹を立てている。

「まーちゃ…茉白は父親から暴力を受けて、左耳が聴こえなくなったんだ」

「え…」

息をのむ同僚。

「これ以上、ひどい事を言うなら、上に言って君らを切る事も出来るけど、どうする?」

「ご…ごめんなさい」

同僚はそそくさといなくなった。
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