秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 その後、私が陽太の世話をしているうちに、大雅が持ち込んだ荷物を運んでくれた。
 リビングには、真っ先に陽太専用の遊びスペースが整えた。
 元から使っていた柔らかいマットのふちに、玩具の入ったかごが置かれている。さらに、箱の外のにある持ち込んだ覚えのない玩具は……。

「俺からのと、両親からもあるよ」

 やっぱり。
 明日にでも、陽太を連れてご挨拶に行くべきだろう。

 ここに足を踏み入れたときは、見るからに高級な部屋に怖くなっていたが、そこに使い慣れたものが並ぶと安心感が増す。途端に〝我が家〟に様変わりしたように感じる。

「大雅。なにからなにまで、本当にありがとう」

「どういたしまして。まだ足りないものは、その都度買い足していこう」

 感謝の意を伝えれば、大雅が途端に嬉しそうな顔になる。それだけで満たされた気になるあたり、どうやら私は彼のこういう表情に弱いらしいと気づく。

 陽太の様子を気にかけながら、荷物の整理に取り掛かる。その間大雅は、食材を買いに出かけて行った。今日も、彼が料理を担当してくれるらしい。

「陽太。今日からここで、パパと三人で暮らすんだよ」

 どこまで理解しているのかはわからないけれど、到着して以来機嫌よく過ごしている陽太に声をかけた。

「こんな素敵な部屋を用意してくれたパパに、ちゃんと感謝しないとね」

「ねぇ」と私を真似る陽太をぎゅっと抱きしめて、柔らかな髪に顔を埋めた。
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