秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「その子が陽太君ね!」

 私の腕に抱かれた陽太に、おしとやかな雰囲気だった彼女が我慢しきれないという様子ではしゃいだ。

「大雅の小さい頃にそっくり。かわいいわねぇ」

 再会したすぐに大雅が話していた通り、どうやら陽太と彼はお義母さんから見ても似ているようだ。
 興奮のあまり前のめりになるお義母さんに、大雅が苦笑した。

「母さん、先に上がっていい?」

「もちろんよ」

 案内される途中、廊下に飾られた絵画や置物に目が行く。間違いなく高価なものだろう。陽太が触れないように、慎重に通り過ぎる。 

「いらっしゃい。よく来てくれたね」

 通された応接室には、お義父さんがソファーにかけて私たちの到着を待っていた。
 フレンドリーな雰囲気の大雅とは違って厳格そうな人に見えたが、陽太と私の存在を視界に捉えた途端に表情が和らぐ。

 見かけは怖そうだけど中身は優しいと大雅が話していたが、どうやら本当のようだとほっとした。
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