秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 そもそも、梨香と私は一卵性の双子だ。直接会話をすれば内面はまったく似ていないと気づくだろうが、よく見れば外見はやっぱり似通っている。
 自分ですらそう思うぐらいだから、いくら化粧や髪色が違っても、第三者からしたら装いを変えた同一人物だと認識するかもしれない。

 私と大雅との出会いは、たまたま居合わせたバーで意気投合したところからはじまった。
 彼はたしか、話しかけたきっかけのひとつとして、私の外見がかわいかったというような発言をしていたはず。

 もし私を誘った一番大きな理由が、本当は外見だったとしたら?
 特別美人でもないけれど、それが発端なら同じ顔をした梨香にも惹かれるかもしれない。

 大雅は私を訪ねてくる数カ月前には、広島の実家へも足を運んだと明かしていた。当然、梨香と顔を合わせた可能性だってある。

 所在不明な私を捜すより、目の前にいる梨香を選んだ可能性は絶対にないと言い切れるのか。
 真面目だけが取り柄の私より、自由奔放で明るい梨香の方がよいという人だって当然いるはずだ。

 それに、大雅は素敵な男性だから、梨香だって気に入るかもしれない。

 初めて会ったあの夜以降、誰ともそういう関係になっていないし、ほかの女性に惹かれなかったと話してくれたけど、そんなの言葉でならなんとも言える。
 都合よく避妊具を持っていたのだって真相はどうなのかと、一度は納得したはずなのに再び疑念が沸き起こる。
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