秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 電話をかけ続ければ、いずれ気づくかもしれない。
 でも、もしつながった先に梨香の気配を感じてしまったら? 

 あらぬ想像に、そんなはずはないと慌てて首を横に振って否定する。

 距離がある以上、なにもできない。
 でも、考えようによっては顔の見えない状態でやりとりして拗れるよりも、面と向かって尋ねた方がいいかもしれないと、なんとか自分に言い聞かせる。
 
 今夜、大雅がひとりで過ごしていると信じながら、祈るようにスマホを閉じた。

 焦りと不安で落ち着かず、ベッドに入っても眠気が訪れない。しばらく陽太の顔を眺めながら、苦しい夜を過ごしていた。



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