秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「俺と千香は、一緒に過ごした時間がまだまだ少ない。だから、ちょっとしたことで不安になったり疑ったりしてしまうのは仕方がないよ。俺だって、これを明かすことで千香が自分を責めて、俺から離れていくんじゃないかって恐れていた。千香と陽太が愛しすぎて、強くありたいと思う反面、臆病になってしまう自分もいる。隠していて、本当にごめん」

 いつも明るく自信に満ちた大雅に、こんな一面があるなんて知らなかった。
 彼と過ごす時間を重ねるたびにますます愛しくなって、失う怖さも大きくなっていく。
 臆病になっていたのは、私も同じだ。

「だから、お互いさまだね」

 大雅は笑みを浮かべながらそう言ってくれるが、それでも梨香のやっていることはその一言で済ませられるものではなくて、首を横に振る。

「姉のしたことは、簡単に許せるものじゃないわ」

「犯罪まがいの行為をしているのは佐々木梨香であって、千香じゃない。だから、千香が思い悩む必要はない」

 佐々木梨香と血のつながった家族だという事実が、嫌でたまらない。
 どこまでも私を傷付ける存在が、憎らしくすら思えてくる。
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