秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 もはや、実家の存在は私にとって害にしかならない。
 血のつながりがある以上、完全に縁を切るのは不可能だとしても、もうこのままにはしておけない。今後、大雅や陽太にまで被害が及ぶような事態だけは、絶対に許さない。
 ここでしっかりと、絶縁すると私の意志を伝えておきたい。

「ええ。私は、私の大切な家族を守りたい」

 きっぱりと言い切った私に、大雅が神妙な顔でうなずく。

「一度、千香のお父さんと会おうと思う。たぶん、冷静な話し合いにはならないだろうし、千香にとって耳をふさぎたくなるような発言もされるかもしれないけど」

「大丈夫。いい加減、私自身もけじめをつけないといけないから」

 メールで交わすやりとりでは、こちらの決意が伝わらないかもしれない。
 父親と対峙するのが怖くないと言ったら嘘になる。でも、今の私はひとりじゃないと家族の存在に勇気づけられて、実家との決別を改めて決意した。

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