秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
絶縁宣言
 大雅との話を終えて、陽太を迎えに向かった。
 出迎えてくれたお義父さんの腕に抱かれた陽太の小さな手には、初めて見る玩具が握られている。遊びに来るたびにいろいろとプレゼントされるが、私の両親とは違って、小田切の両親は幼い陽太にもいけないことはきちんと教えてくれるから安心して任せられる。
 多少や甘やかしすぎは、引き離してしまっていた時間を考えれば仕方がない。

「泣かないで、いい子で待ってたぞ。なあ、陽太」

 すっかり仲良くなったようで、陽太もご機嫌だ。いつの間にかお義父さんを「じいじ」と呼ぶようになっていた。

 ふたりにも、今後について話しておくことにした。

「――私の実家がご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません」

「千香さんのせいじゃない。だから、謝罪はいらないよ」

 一通り大雅が説明をして私が頭を下げると、お義父さんが顔を上げるように促してきた。

「でも……大雅さんにも、姉がずいぶん迷惑をかけてしまって……」

「そう。千香さんではなくてお姉さんがしたことだ。だから、君がそんなふうに謝る必要はないんだよ」

「そうよ」

 大雅とよく似た優しい笑みを浮かべて、同じ言葉をかけられる。
 もともとは赤の他人だというのに、このふたりはどこまでも私に優しくしてくれる。本当の両親からは、決して得られなかったものだ。
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