秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 快感が弾けるのは一瞬で、大きな衝撃に呆然として天井を見つめた。
 静まり返った室内には、ふたりの乱れた息遣いだけが響いている。

 しばらくして体を離した大雅は、隣に横たわって私を抱き寄せてきた。言葉はないまま、いたるところに口づけられていく。

 落ち着きを取り戻していくのと同時に、急速に熱が冷めていく寂しさに思わず彼にすり寄った。

「千香」

 離れたくない。
 もう少しだけ一緒にいさせてほしくて彼の胸元に額を押し付けているうちに、大雅の温かい手が再び私の背中を滑り出す。

「まだ離したくない」

 まるで私の心を読んだような大雅の言葉が嬉しくて、彼の胸元に添えた手にぐっと力がこもる。
 
 大雅腕の中に囲われる心地よさに、さっきも感じた淡い感情が込み上げてくる。
 異性と付き合った経験はないものの、初恋ぐらいは体験している。だから、私の中に生まれた気持ちが彼に対する好意だとわかっている。
 
 でも、私たちの関係でそれを告げるのは反則だろうと、ぐっと呑み込んだ。

 軽く戯れるようなキスをいたるところに落とされ、くすぐったさに小さな笑い声を上げる。

「初めての千香に、無理はさせたくないんだけど……」

 バツが悪そうな声音とは裏腹に、彼の瞳の奥には情欲の熱が未だに燻っているのが見える。そうさせているのが自分だと思うと、充足感に満たされていくようだ。

「平気」

 気怠さはある。でも、もっともっと彼に触れられていたいと、まださめない酔いも手伝って偽りのない気持ちがこぼれ落ちてしまう。

 額に口づけた大雅は、愛撫を再開した。
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