秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 正常な判断など、彼の誘いに同意したときからできていなかったのかもしれない。
 初めてとは違い、ずいぶんゆっくりと戯れた二回目までの行為は覚えている。でも、次第に思考はぐずぐずに溶かされて、なし崩し的になっていく。

 それは大雅も同じだったのか、理性をなくしていく彼を目にして嬉しさすら感じていた。

 途中、お風呂に入れてもらった記憶もあるけれど、どの瞬間も夢心地で現実との境が曖昧だ。
 そのまま一晩中大雅に愛されると、気を失うように眠りについた。


「ん……」

 まだ眠っていたいのに、目が覚めてしまった。寝起きはいい方なのに、今朝は頭が重いし瞼をなかなか開けられない。なんだか全身が怠く、身じろぎすると下腹部がズキリと痛む。コンディションは最悪だ。

 シーツにくるまってもぞもぞしているうちに、ようやく意識がはっきりしてくる。
 どうやらここは自分の部屋ではないらしいと気づき、辺りを見回す。
 隣に気配を感じてそっと伺い見れば、昨夜バーで意気投合した大雅が眠っていた。

「そうか。私、大雅と……」

 事態を把握すると同時に、甘い夜を思い出して頬が熱くなる。
 ずいぶん大胆になっていた自覚はある。こんなふうに初対面の男性と関係を持つなんて、以前の私なら考えられなかった。

 でも、これでよかったのだと納得している。

 いろいろと限界だったのだろう。
 私が望んだ通り存分に甘えさせてくれた大雅には、感謝しかない。苦痛などなにもなくて、ただひたすら幸せに満たされた時間だった。
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