秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 離れがたくて、もう少し一緒にいたいと強請るように身を寄せたのは私からだった。彼も同じ気持ちだったのが嬉しくて、初めてだというのに本能のままさらに数回……。

「そういえば、二回目以降は避妊したかどうか曖昧かも」

 幸せな思い出として捉えるならともかく、事実をつまびらかにするように脳内で再現するのはかなり恥ずかしい。それでも必要だからと、汗が滲んだ手をぐっと握りながら記憶を解いていく。

 シャワーを浴びようと立ち上がった途端にふらついた私を、すかさず大雅が支えてくれて……。

「そうだ、そのまま一緒に入ったのよ」

 ふたりともまだほろ酔い状態で、浴室でも……。

「避妊、していなかったかも」

 わざわざあの場に、避妊具を持ち込んだ記憶はない。両腕で私を支えてくれていた大雅にも、そんな余裕はなかっただろう。

「〝かも〟じゃ、ない」

 だとすれば、今の私の症状もあり得ない話ではない。

 とにかく正確な診断を受けるべきだと、午後の診療時間を待って近所の病院へ向かった。
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