秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「千香。実家のこと以外で、なにを悩んでる?」
ふたりを眺めながら考え込んでいると、怪訝な顔をした大雅が唐突に尋ねてくる。
「これまで父親からの連絡はあっても、居場所を探られたり会いに来られたりはしていなかったんだよね? 話してきた印象だと、君の実家はお姉さんに継がせるつもりのようだった。そのうえで君も呼び戻して、婿になる人のサポートは千香に任せる算段をしているようだった。当然、千香は言う通りにするだろうと信じている節もある。長年、君はそうやって過ごしてきたんだね」
あまりにも身勝手な話に、瞬時に怒りが込み上げる。
どうりで連れ戻されないはずだ。数年後、梨香が婿を迎える頃に帰っていればいいとでも考えているのだろう。むしろ、それより早くから来られても、母と梨香が不機嫌になるだけだと煩わしさすら感じているかもしれない。
当然、私に従う気はない。
思案する間中、大雅が私をまっすぐに見つめていたことに気づく。そんな視線に晒されていたら、実家を盾に隠していた不安が無意識のうちにこぼれ落ちていた。
「私たち、一緒に過ごした時間があまりにも少ないわ」
ひとたびそれを声にしてみれば、それが自分の思っていたよりも大きな不安要素だったと実感する。
互いをよく知らないまま結婚して、さほど時間が経たないうちに離婚したなんてシャレにならない。若気の至りで済ませられる身軽な状況でもないし、陽太を一番に考えたら早まった判断はできない。
ふたりを眺めながら考え込んでいると、怪訝な顔をした大雅が唐突に尋ねてくる。
「これまで父親からの連絡はあっても、居場所を探られたり会いに来られたりはしていなかったんだよね? 話してきた印象だと、君の実家はお姉さんに継がせるつもりのようだった。そのうえで君も呼び戻して、婿になる人のサポートは千香に任せる算段をしているようだった。当然、千香は言う通りにするだろうと信じている節もある。長年、君はそうやって過ごしてきたんだね」
あまりにも身勝手な話に、瞬時に怒りが込み上げる。
どうりで連れ戻されないはずだ。数年後、梨香が婿を迎える頃に帰っていればいいとでも考えているのだろう。むしろ、それより早くから来られても、母と梨香が不機嫌になるだけだと煩わしさすら感じているかもしれない。
当然、私に従う気はない。
思案する間中、大雅が私をまっすぐに見つめていたことに気づく。そんな視線に晒されていたら、実家を盾に隠していた不安が無意識のうちにこぼれ落ちていた。
「私たち、一緒に過ごした時間があまりにも少ないわ」
ひとたびそれを声にしてみれば、それが自分の思っていたよりも大きな不安要素だったと実感する。
互いをよく知らないまま結婚して、さほど時間が経たないうちに離婚したなんてシャレにならない。若気の至りで済ませられる身軽な状況でもないし、陽太を一番に考えたら早まった判断はできない。