秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
甘い同居生活
「一週間ほど休みを取ってきたんだ。必要な荷物も積んできてるから、部屋に入れてもいい?」

「え?」

 まさか、すでにそんな準備をしているとは知らず、驚きの声を上げる。
 一緒に暮らす許可はしたけれど、さすがに今からすぐにとは思っていなかった。

「近くに駐車場も借りておいたし、念のため車にはチャイルドシートも用意してある」

「は?」

 あまりの用意周到さに言葉の出ない私を、大雅がくすりと笑う。

「言っただろ? 口説かせてもらうって。先手必勝。千香の気が変わる前に攻め入って、俺がいかに役に立つ存在で信頼できるのかを証明しないとな」

 もし断られたらとか、考えなかったのだろうか。
 やる気に満ちた大雅を見ている、口説くと宣言されたのも忘れてやっぱりかわいく見えてしまう。
 だから、ますます突っぱねられなくなる。

「そ、そう……。なにか、手伝うことはある?」

 そもそも、許可した途端にここへ来て一番うれしそうな顔をされたら、断れるはずがなかった。どうやら私は、大雅にはとことん甘くなってしまうようだ。

「すぐ済むから大丈夫だよ」
 
 大雅が部屋と車を行き来する中でなにかに集中できるはずもなく、とりあえず陽太の世話をしながら簡単な掃除をしていく。
 
 持ち込むと言っても、それほど大げさなものではなかった。着替えと必要な日用品程度で、仕事に関するものはいっさいなさそうだ。どうやら彼は、本当に休みを取ってきたらしい。
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