秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「さすがに今はずいぶん落ち着いてきたけど、たまになかなか泣き止んでくれない日もあって」

「そうか。それは千香にとって負担になっているよな。さっき寝室を覗かせてもらったけど、ベッドはそこそこ広いようだし、千香さえ嫌じゃなかったら一緒に使わせてもらえないか? 夜泣きの対応だって、俺も手伝いたい」

 陽太の世話だと言われれば、下心なんていっさい感じない。気恥ずかしさはどうしたってなくならないが、彼に無理をさせず、尚且つ私たちのこれまでの生活スタイルも崩さずと言ったらそれが最善だ。

 それに、ここに来てからの大雅の様子を見ていると、陽太に対する態度はとにかく自然で、子どもに抵抗がないのがわかる。きっと、子ども好きなのだとも思う。
 今まで陽太に関われなかった分、これからはと望んでくれているのかもしれない。

「けっこう大変だよ?」

 かわいいばかりじゃなくて、場合によっては苛立ってしまうときもある。近所迷惑を考えると、精神的にも追いつめられてしまう。

 それに、ずいぶん体重も増えて重くなったし、体をのけ反るようにして泣かれてしまうと正直お手上げだ。

「大丈夫。そういう経験もしてみたいから」

 そんな言い方をされたらやっぱり拒むなんてできなくて、受け入れるしかなくなる。

「わかった」

 陽太とふたり、この部屋でどれぐらいの間暮らすのかは考えていなかったが、ひとり部屋が必要となるまで一緒に寝起きするだろうと、ちょうど安くなっていたのもあってダブルサイズのベッドを使っている。
 三人となると少し窮屈かもしれないが、不可能ではない。ましてリビングで寝てもらうよりはいいだろう。

 間に陽太を挟めば、近すぎる距離感もそこまで意識しない……はず。
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