秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 翌日以降も、大雅は終始私たちに尽くし続けた。

 私が仕事を片付けておきたいと言えば、「じゃあ俺は陽太と外の公園で遊んでくるよ」と連れ出して遊び相手をする。

 食事は毎回彼が用意してくれるし、掃除だって率先してやっている。陽太のおむつ交換もすぐに慣れて、毎晩お風呂にも一緒に入っている。夜泣きをしたときなんかは、私より素早く起きて、苛立つことなくあやしていた。

「千香はこれまで、全部ひとりでやってきたんだね。生まれてすぐはもっと大変だっただろう」

 未だに申し訳なさそうな顔をされるが、ふたりとも再会した日に散々謝り合ったから、謝罪の言葉はもう口にしない。

「本当に、ありがとう」

 代わりに、感謝の言葉を惜しみなくかけてくれる。

「愛しているよ」

 愛の言葉も。
 ストレートすぎてさすがに照れてしまうけれど、それだけ彼が私を想ってくれているのだと伝わってくる。
 たまにされる軽い口づけも、まったく嫌じゃない。
 それどころか、次第に自分も同じように返したいという気持ちが強くなる。

 信じていいのだろうか。

 いくら気持ちが通じ合っているとはいえ、短い付き合いで結婚まで決めてしまうのは怖い。そうブレーキをかけていたが、一緒に過ごしているうちにそれもずいぶん緩んでしまった。
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