あなたの落とした願いごと
神様と夏祭り
終業式が終わって夏休みの宿題と格闘しているうちに、いつの間にか季節は完全な夏に様変わりした。
心待ちにしていた滝口神社の夏祭りが開催される日でもある今日、
「…私、何色が似合うんだろう」
浴衣レンタル店に来た私は、エナが着々と浴衣を選んでいく隣で静かに頭を抱えていた。
何せ夏祭りに行く事自体が8年ぶりだし、自分に似合う色なんて分かるはずがない。
滝口君達と神社の前で落ち合うのが夕方だからと気を緩ませていたけれど、お昼の段階から此処を訪れたという選択はあながち間違っていなかった様だ。
「沙羅、うちこのデザインにするわ!花の模様が綺麗だし」
「待って!私、まだ色すら決められてないんだけど、」
恨むよ、私の優柔不断な性格。
でも、えんじ色の浴衣を着用する事にしたエナは、メイクや髪を弄られる前に、と、既に昼食用のおにぎりにありついていてこちらを見向きもしない。
(嘘でしょ、絶対決まらないよ…)
私の訴えは無情にも消え、諦めた私はこめかみをぐりぐりと手で押しながら目の前にある浴衣に目を向けた。
私が候補に挙げた下地の色は、定番の桃色と赤色、そして藍色。
どれも夏らしいし女の子らしいし、可愛くて1つに絞れるわけがない。
心待ちにしていた滝口神社の夏祭りが開催される日でもある今日、
「…私、何色が似合うんだろう」
浴衣レンタル店に来た私は、エナが着々と浴衣を選んでいく隣で静かに頭を抱えていた。
何せ夏祭りに行く事自体が8年ぶりだし、自分に似合う色なんて分かるはずがない。
滝口君達と神社の前で落ち合うのが夕方だからと気を緩ませていたけれど、お昼の段階から此処を訪れたという選択はあながち間違っていなかった様だ。
「沙羅、うちこのデザインにするわ!花の模様が綺麗だし」
「待って!私、まだ色すら決められてないんだけど、」
恨むよ、私の優柔不断な性格。
でも、えんじ色の浴衣を着用する事にしたエナは、メイクや髪を弄られる前に、と、既に昼食用のおにぎりにありついていてこちらを見向きもしない。
(嘘でしょ、絶対決まらないよ…)
私の訴えは無情にも消え、諦めた私はこめかみをぐりぐりと手で押しながら目の前にある浴衣に目を向けた。
私が候補に挙げた下地の色は、定番の桃色と赤色、そして藍色。
どれも夏らしいし女の子らしいし、可愛くて1つに絞れるわけがない。