あなたの落とした願いごと
でも何を話したらいいか分からなくて、ただ気まずい空気を紛らわそうとペットボトルを見つめていると。
「…何があったのか、話せるか?」
珍しく心配そうな声で、滝口君が口火を切った。
びくん、と、肩が跳ねる。
「…でも滝口君、学校が」
「良いよそんなもん。お前も俺も遅刻確定だろ」
「…うん」
言葉は相変わらず悪いのに、伝わって来る温かさは変わらないから不思議だ。
境内の裏はとても静かで、表側に居る参拝客の声は何も聞こえてこない。
まるで私達2人だけの世界に迷い込んだみたいで、こんな状況でもそれを嬉しく思ってしまう。
でも。
ふっと息を吐いた私は、ごめんなさい、と謝罪の言葉を口にした。
「私、…ごめんなさい、私、滝口君の事が分からなかった…。それで、誰ですか?、って…」
ああ、思い出すだけで悔しくて泣けてくる。
「お前、あんなの気にしてたの?謝られる事じゃないんだけど」
でも、それで泣いてたなんて言うなよ、と、私の隣に座る彼はからからと声をあげて笑う。
「そんなん俺気にしてないし、全然大丈夫なんだけど」
確かに滝口君にしてみれば、こんな事で泣くなんて可笑しいだろう。
でも私にしてみれば、これは最低最悪を極める重大な出来事なんだ。
「…大丈夫なんかじゃ、ないよ…」
必死で涙を飲み込んだ私は、掠れた声で呟いた。
「…何があったのか、話せるか?」
珍しく心配そうな声で、滝口君が口火を切った。
びくん、と、肩が跳ねる。
「…でも滝口君、学校が」
「良いよそんなもん。お前も俺も遅刻確定だろ」
「…うん」
言葉は相変わらず悪いのに、伝わって来る温かさは変わらないから不思議だ。
境内の裏はとても静かで、表側に居る参拝客の声は何も聞こえてこない。
まるで私達2人だけの世界に迷い込んだみたいで、こんな状況でもそれを嬉しく思ってしまう。
でも。
ふっと息を吐いた私は、ごめんなさい、と謝罪の言葉を口にした。
「私、…ごめんなさい、私、滝口君の事が分からなかった…。それで、誰ですか?、って…」
ああ、思い出すだけで悔しくて泣けてくる。
「お前、あんなの気にしてたの?謝られる事じゃないんだけど」
でも、それで泣いてたなんて言うなよ、と、私の隣に座る彼はからからと声をあげて笑う。
「そんなん俺気にしてないし、全然大丈夫なんだけど」
確かに滝口君にしてみれば、こんな事で泣くなんて可笑しいだろう。
でも私にしてみれば、これは最低最悪を極める重大な出来事なんだ。
「…大丈夫なんかじゃ、ないよ…」
必死で涙を飲み込んだ私は、掠れた声で呟いた。