あなたの落とした願いごと
何処かの教室に入って出し物を楽しもうとも思ったけれど、よくよく考えれば、そこには部員が居る可能性も捨て切れない。
私は彼らの事を服に付けられたネームタグで判断していたから、実際に容姿と名前が一致しているのはせいぜい同じ学年の人達だけ。
それに、今日は大半の人の容姿が大幅に変化しているから、もう彼らを知る手掛かりは声の違いしか存在していなかった。
でも、様々な特徴を持ち合わせる声を瞬時に誰のものだと言い当てられるかと言われると、そんな自信もないから。
結局教室に入れないと判断した私は、廊下を歩きながら文化祭を謳歌する事にしたんだ。
(滝口君、さすがに登校したかな?)
不意に滝口君の存在を思い出した私は、廊下の隅に立ち止まってスマホを開いた。
私とエナと空良君、そして滝口君が入っているグループチャットでは、今朝から私達がひっきりなしに滝口君の名を呼んでいるけれど、
未だに、当人からの既読はついていなかった。
「滝口君が来なかったら、文化祭後半の劇はどうなっちゃうんだろう」
体調不良なら学校側に連絡がいくはずなのにそれもないし、クラスチャットもグループチャットも、個人チャットですら既読がつかない。
「大丈夫かな…」
仕方なくスマホをポケットに入れ直した私が、短く息を吐いたその時。
「南野先輩!今大丈夫ですかー!?」
私は彼らの事を服に付けられたネームタグで判断していたから、実際に容姿と名前が一致しているのはせいぜい同じ学年の人達だけ。
それに、今日は大半の人の容姿が大幅に変化しているから、もう彼らを知る手掛かりは声の違いしか存在していなかった。
でも、様々な特徴を持ち合わせる声を瞬時に誰のものだと言い当てられるかと言われると、そんな自信もないから。
結局教室に入れないと判断した私は、廊下を歩きながら文化祭を謳歌する事にしたんだ。
(滝口君、さすがに登校したかな?)
不意に滝口君の存在を思い出した私は、廊下の隅に立ち止まってスマホを開いた。
私とエナと空良君、そして滝口君が入っているグループチャットでは、今朝から私達がひっきりなしに滝口君の名を呼んでいるけれど、
未だに、当人からの既読はついていなかった。
「滝口君が来なかったら、文化祭後半の劇はどうなっちゃうんだろう」
体調不良なら学校側に連絡がいくはずなのにそれもないし、クラスチャットもグループチャットも、個人チャットですら既読がつかない。
「大丈夫かな…」
仕方なくスマホをポケットに入れ直した私が、短く息を吐いたその時。
「南野先輩!今大丈夫ですかー!?」