あなたの落とした願いごと
いきなり、何処かから私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ん?」
振り向くと、廊下の奥から数人の男女がこちらに向かって走ってきていて。
「え!?」
彼らが私を呼んだのか、それともただ廊下を走っているだけなのか分からない私は、とにかく邪魔にならないように壁に張り付いた。
でも。
「やっぱり先輩だ!写真良いですよね?」
彼らは私の目の前で走る速度を落とすと、口々にそう話し掛けてきた。
「写真?あ、うん」
誰だろう、と思ったけれど、私を先輩呼びしているのだから部活の後輩のはず。
彼らはウィッグをつけている上、服も学校指定のものでは無いジャージを着ていて、しかも同時に話し掛けてくるから名前がさっぱり分からない。
私は、彼らの事を忘れていた。
足元の床が消えた様な不可解な感覚に襲われながらも、私は何とか笑顔を作って、
「はい、チーズ!」
のっぺらぼうの一員となる、新たな思い出を形作ったんだ。
「ありがとうございました!後で先輩のクラスにも遊びに行きますね!」
何枚か写真を撮った後、私の中には決して残る事のない思い出を手にした彼らは手を振って廊下を駆けていく。
「待ってるね!」
私の声は、後輩に届いただろうか。
まるで台風みたいに去って行く彼らを見て、私は呆れながらも頬を緩ませた。
「ん?」
振り向くと、廊下の奥から数人の男女がこちらに向かって走ってきていて。
「え!?」
彼らが私を呼んだのか、それともただ廊下を走っているだけなのか分からない私は、とにかく邪魔にならないように壁に張り付いた。
でも。
「やっぱり先輩だ!写真良いですよね?」
彼らは私の目の前で走る速度を落とすと、口々にそう話し掛けてきた。
「写真?あ、うん」
誰だろう、と思ったけれど、私を先輩呼びしているのだから部活の後輩のはず。
彼らはウィッグをつけている上、服も学校指定のものでは無いジャージを着ていて、しかも同時に話し掛けてくるから名前がさっぱり分からない。
私は、彼らの事を忘れていた。
足元の床が消えた様な不可解な感覚に襲われながらも、私は何とか笑顔を作って、
「はい、チーズ!」
のっぺらぼうの一員となる、新たな思い出を形作ったんだ。
「ありがとうございました!後で先輩のクラスにも遊びに行きますね!」
何枚か写真を撮った後、私の中には決して残る事のない思い出を手にした彼らは手を振って廊下を駆けていく。
「待ってるね!」
私の声は、後輩に届いただろうか。
まるで台風みたいに去って行く彼らを見て、私は呆れながらも頬を緩ませた。