あなたの落とした願いごと
首から下の身体から溢れ出す、キラキラと輝くオーラ。


観察する以前に、彼女の言葉の衝撃で目が覚めた今ならはっきりと分かる。


今の私にこんな仕打ちをする女子は、


「福田、さん…」


彼女しか存在しないと。



此処に居る人が福田さんだと認識した瞬間、私の額からえも言われぬ嫌な汗が流れ始めたのを感じる。


だって私は、彼女の事を完全に忘れて、“誰ですか?”と聞いた事があるのだから。


それに、彼女が私を此処に連れ出したのはそれだけが理由ではないはず。


多分、いや絶対、そこには滝口君が関係しているんだ。


福田さんと私は滝口君に対して同じ気持ちを持っているから、こうなる事は薄々気付いていた。


「あの、ごめんなさい。私、一学期に福田さんに酷い事言っちゃって」


とにかく、1番自分が罪悪感を抱いていた件について謝ったけれど。


「は?今更謝んの?無理なんだけど」


それ以上にイラついているらしい福田さんは、まるで聞く耳を持たない。


「あのさあ、あんたは何で此処に連れて来られたか分かってんの?」


いつも明るくて可愛らしい福田さんが、こんなにドスの効いた声を出すなんて思ってもみなかった。


「私の王子とこれ以上仲良くしないでくんない?今までの私の行動見てれば、さすがに分かるよね?」


今の今までまともに会話をした事すら無かった福田さんの声に、一層の怒りが混じった。
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