あなたの落とした願いごと
皆からイケメンと噂される滝口君を隣で見れて、オリジナルのあだ名を付けて貰えて。
きっと、滝口君自身も私がそういう反応をすると思ってわざとこの提案を持ち掛けたのだろう。
でも、何があっても私は彼の顔を認識出来ない。
彼が私に望んでいるであろう笑顔も嬉し泣きも、自分が上手にその表情をしているか分かる術は1つもないのに。
「良いよ。ありがとう」
きゅっと唇を引き結んだ私がそれ以上何も語らずに頷くと、薄らと見える彼の眉毛が驚いた様に上がったのが見えた。
彼の口が動き、何かを言いたそうにしているのが見えたものの、
「えーっ、沙羅あだ名付けて貰ったの?羨ましい!」
私達2人の会話を聞いていたらしいエナに遮られ、滝口君の口からは言葉にならない吐息が漏れただけだった。
「文句あんの?お前らは名字でいいだろ」
「まあ、お前呼びじゃないだけマシだと思ってますけど」
ふっと私から顔を逸らして淡々と答える滝口君に、エナが笑いながら突っ込む。
「確かに!」
エナが私の方を見てきたのが分かったから、私達は顔を見合わせてクスクスと笑い合った。
だから、斜め前から事の一部始終を見ていた福田さんが私を睨んでいた事なんて、その時の私には気付く由もなかった。
きっと、滝口君自身も私がそういう反応をすると思ってわざとこの提案を持ち掛けたのだろう。
でも、何があっても私は彼の顔を認識出来ない。
彼が私に望んでいるであろう笑顔も嬉し泣きも、自分が上手にその表情をしているか分かる術は1つもないのに。
「良いよ。ありがとう」
きゅっと唇を引き結んだ私がそれ以上何も語らずに頷くと、薄らと見える彼の眉毛が驚いた様に上がったのが見えた。
彼の口が動き、何かを言いたそうにしているのが見えたものの、
「えーっ、沙羅あだ名付けて貰ったの?羨ましい!」
私達2人の会話を聞いていたらしいエナに遮られ、滝口君の口からは言葉にならない吐息が漏れただけだった。
「文句あんの?お前らは名字でいいだろ」
「まあ、お前呼びじゃないだけマシだと思ってますけど」
ふっと私から顔を逸らして淡々と答える滝口君に、エナが笑いながら突っ込む。
「確かに!」
エナが私の方を見てきたのが分かったから、私達は顔を見合わせてクスクスと笑い合った。
だから、斜め前から事の一部始終を見ていた福田さんが私を睨んでいた事なんて、その時の私には気付く由もなかった。