S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「あのっ、手……」
手をがっしり繋がれている。
街中でそんなことをされれば、人の目が気になって思わずキョロキョロとしてしまった。
「大丈夫、ここは知り合いもいない。ただ、新婚の夫婦が手を繋いで買い物してるだけ」
「新婚って」
「もう少し夫婦らしいことをしよう」
そう言ったと思ったら、するりと指を這わされて、指の間に指を入れられた形の手の繋ぎ方になる。
「ふぁっ……!」
(な、なんかこの手の繋ぎ方、身体がぞわぞわする!)
左手は、昨日散々触れられてキスされた場所なだけに、それだけで変な声が出てしまう。
そんな私を見て、要さんはいたずらが成功した子どもみたいに笑った。
「そんな固くならないでも」
「汗がとんでもないです! て、手を離してください!」
「緊張してくれてるんだ」
「そ、そんなのするに決まってるでしょう! こんな手の繋ぎ方、誰ともしたことないんだから!」
怒って言うと、要さんは微笑む。
「初めての男だなんて光栄だな」
「っ……」
そのキラキラした笑顔に胸が掴まれる。
なに……もう……
それ……全部が卑怯過ぎない?