S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
10章:喧嘩と過去と
―――月曜。
朝、人事部に行き席に着くなり、三堂さんが私に言った。
「金曜は如月と二人にしちゃってごめんね? 何もなかった?」
「は、はい。な、なにもないです」
突然の質問に私はなんとか答える。
隣にはもう如月さんまでいるので、なんだかすごくやりづらい。如月さんの顔が見られなかった。
三堂さんは、ふうん、と目を細める。
「本当? すっごく怪しいけど」
「ほ、本当です!」
「俺が告白して振られたってだけです」
「っ!」
突然如月さんがことの顛末を勝手に話し出して、私は驚いて如月さんの方を見る。
(如月さん、何言ってるの⁉)
これまで男女のことには無縁だったので、こういうのが普通かどうかわからないけど、
非常に心臓によろしくないことだけはよく分かる。
三堂さんは私を見ると、
「えーなんで振っちゃったのよう。付き合ってる人でもいるの?」
と聞いてくる。
私は慌てて手を横に振った。