S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

 そして、その日の終業後。

「……帰りたくない」

 私は机に突っ伏し、ぽつりとつぶやいていた。
 要さんは午後から外出で直帰だし……なんだか、声をかけることもできなくて……。

 でも、私の足はそこから一向に動こうとしなかった。
 そんな私を気にして、三堂さんが声をかけてくれる。

「何やってるの?」
「……時間潰してます」
「何かあった? 時間潰したいなら、いいところ行こう!」

 そう言って腕を持たれ、無理矢理にずるずると引きずられてその場を離れた。

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