S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「……ボーリング」
ついた先は、ボーリング場だった。
「スカッとするわよ!」
そう言って、三堂さんは腕を伸ばして準備運動を始める。
私は申し訳なくなって、小さく呟く。
「すみません。私……やったことないんです。ボーリング」
「うっそ!」
「はい……」
「何して遊んでたの。いや、今どきの子は、ボーリングでは遊ばないだけ?」
「遊んでないです。昔から全然遊んだことなくて……」
そういうと、三堂さんは、あぁ、と頷く。
「所作からそうかな、って思ってたけど、七瀬さんって、結構お嬢様じゃない?」
「え……」
「気さくだから、気がつきにくいけど……名字とか考えたら七瀬モーターズ……? あそこは確か一男一女だったような」
そう言われて、もう出自は隠せないな、と観念し、はい、と頷いて口を開く。
「三堂さん、詳しいんですね」
「やっぱりそうか。どうして素性隠してたの? まぁ、簡単には隠せなかったと思うけど」
そう言われて、私は黙り込む。
すると、三堂さんは私を椅子に座らせ、自分も隣に座った。
「話したくなかったら聞かないわ」
しかし、私は三堂さんには話そうと決意していた。