S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「私、普通に……働く女性になりたかったんです。普通にって語弊があるかもしれないんですけど。普通に仕事して、仕事がうまくできるようになって。そしたら、きっと恋愛もしてって、そう思って……」
「七瀬さんにとっては家柄が許さない話かもね」
「そうなんです。私が『自分の力だけでうちではない企業に就職したい』と言ったら、父も兄も大反対。でも、普段厳しい祖父だけが応援してくれました」
説得は大変だったし、今でも全て丸く収まってはない。
でも、本当に驚いた事に、あの厳しい祖父だけが私の背中を押した。
「そんなこと言っても、いまだに仕事でも、あまり上手くいかないことも多いですけど」
「そんなことないわ。少なくとも、あなたの頑張りは私が一番よく知ってる。如月も、それに部長も」
三堂さんが力強く言ってくれる。
私は不覚にもその言葉に泣きそうになった。