S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
2章:キスの感触

 朝一の人事部で、

「どうしたんですか、部長。その頬……」

という声が聞こえたので、思わず私は顔も目も要さんの方からそらした。

「あぁ、少しな」

 要さんの耳をくすぐる、否、耳に罪悪感を植え付けるような声が聞こえる。

 そんなことを考えていると、私の隣の三堂さんが事務椅子を私の方によせて、

「って言いながら、嬉しそうなの。あれ、彼女かしら」

と微笑んだ。
 今、自分の顔が赤かったり、もしくは青くなっていないか、不安だ。

 あの赤くなった頬の真実を知るのは、きっと私だけだろう。
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