S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「ねぇ……なんとなくなんだけど……。それって部長じゃない?」

 三堂さんは言う。
 急に言い当てられて、私の声はぐっと詰まる。

「……やっぱりそうか」
「いえっ! ま、まさか! そんなとんでもない!」

 私が叫ぶと、三堂さんは勝手に話を進めていた。

「まぁでも、確かに、七瀬さんと部長じゃ……ちょっと恋愛レベルは違うわよね」
「……恋愛、レベル」
「うん」

「部長は……色々と慣れてそうですもんね」

 そう言って、自分の言った言葉に胸がシクンと痛む。
 これまで、要さんといて、そう思ったことは数知れない。いつだって要さんはスマートで、女性の扱いにもかなり慣れている気がしていたのだ。

「まぁ……でも、その割に、今は全然女性関係聞かないな。仕事で必要なとき以外は、寄ってくる女性をすっごく冷たくあしらってるみたいだし」

(……そんなこと知らなかった)

 昔、どんな女性とどうしてたのか気になるけど。
 今も続いてないのは……なんだかとても心が軽くなる。
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