S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~

「如月さんのことも、要さんのことも、全然分かってなかった」
「だから、心配なんだ」

 その時、ちょうど車がマンションの地下駐車場に着き、要さんはまっすぐ私の方を見ていた。
 要さんは私に軽いキスを落とすと、ぎゅ、と私の身体を抱きしめる。

「結局は俺が妬いただけだ。でも、説明もせずに本能のままにああするべきじゃなかった。すまない」
「わ、私も……あんなこと言って、ごめんなさい」

 結局私だけが振り回されて、こうして今でも、ドキドキしていると思ってた。
 要さんも私のことで少しは振り回されてくれてるの?


 その時、私は突然、
 さっき三堂さんが言ったことが頭を掠めた。

 10秒間、相手の目をじっと見たら、自分の気持ちも相手の気持ちも少しはわかるようになる?

 私は息を吸い、10秒、じっと要さんを見つめた。
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