S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私がまた悶々と考えていると、要さんは首を傾げる。
「何言ってるんだ? 俺はいろはがよくて、いろは以外は考えられないと言っただろ」
「それでも……」
「いろはこそ、政略結婚とはいえ、こんな男で良かったのか。結婚には乗り気ではなかっただろ」
「結婚はまだまだ先だと感じていただけで……」
これまで恋愛すらロクにしてこなかったのだ。
さらに考えてみれば、要さんが好きだという気持ちに気づくまで8年くらいかかっているわけだ。
この状態で恋愛や、ましてや結婚なんて自分から考えられたはずもない。
「最初キスした時覚えてる? どうして唇にするんですか、って聞かれたんだけど」
「はい」
(そう言えばそんなことを言った……)
要さん、その時、楽しそうに笑ってた。
『今はそう感じるんだ』って言って。