S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――次の日の朝。
だるい身体をベッドから起こし、リビングに向かうと、もう要さんは起きていてネクタイを締めているところだった。
「おはよう」
「おはよう、ございます。起こしてくれたらよかったのに」
「よく寝てたし、まだ時間も大丈夫だろ」
そのとき、要さんのクスリとからかうように笑う声が頭上から聞こえる。
「ほら、そうなるから、言ったのに」
そう、私は起床してからずっと要さんと目を合わせられなくなっていた。
(だって、昨日の夜が……衝撃的すぎて……)
でも、要さんに大丈夫だと断言した手前、このままではいけない、と、キッと顔を上げる。
「だ、大丈夫です! ただ、始めて男の人の体をまじまじと見たから、す、少し驚いただけで……」
勢いよく話し出したのに、語尾がどんどん小さくなっていく。
それで結局目をそらしてしまった。
「そう?」
そう言ってまた要さんがクスクス笑っている。
何で、要さんは恥ずかしくないの? 見せても見ても、私だけが恥ずかしいなんて、こんなの不公平。
これが惚れた方の負けってやつ?