S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
要さんは、目をそらし顔までそらしてしまった私の頭を、よしよし、と何度か撫でた後、
「今日、一緒に会社行くか?」
と聞いてくる。
「まさかっ! 嫌ですよ!」
思わずそう返してしまう。
「嫌って……」
「だって、結婚してることバレたくないし」
「俺はいいのに、いつバレたって」
要さんの声は真剣だった。
思わず顔を上げる。
「……え」
「むしろ、他の男を牽制するために、バラしたいくらいだな」
胸がドキリとする。
なんで、そんなこと言うの?
私は首をふるふると横に振る。
「……だめ」
だってまだ私一人前じゃないよ。
だってまだ私は……。
黙り込んだ私を見て、要さんは優しく頭を撫で微笑んだ。
「わかった。困らせてすまなかったな」