S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
「見送りのキスもルールに追加しようか?」
「な、なんでっ」
「これだけで今日一日、もっと頑張れそうだから。じゃ、いってきます。またあとで」
要さんは微笑むと、そのまま行ってしまう。
玄関に残された私は、
「なにそれぇ……!」
と叫んで、その場に屈み込んでいた。
「もうやだ……なんであんな人、好きなんだろう」
まるでもっと素直になれ、と心の扉をこじ開けるように。
あんなことばかり言われたら、私はきっと彼しか見えなくなるのに。
なのに、それを知ってか知らずか、当たり前にあんな甘い事ばかり言ってくる要さんに、
私はどうやっても勝てる気はしないのだった。