S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――夕方、
「本日は、ご足労いただきありがとうございました」
如月さんと二人、会社の玄関ホールで頭を下げる。
今日は、グループの人事調査のために如月さんの補助として手伝いに入っていたのだ。
「すっごい緊張しました。よかったです、無事に終わって」
「今日は助かった。七瀬がいて資料もすぐ見つけられたから、空気も軽くなったんだよ。去年なんて……異動した三上さんと俺でもたついて叱られて、本当に地獄の時間だったんだぞ」
「私、大したことしてませんよ」
言われた通りに、資料を見つけてパソコンに表示して提示しただけだ。
少し前に、要さんから人事の共通フォルダ内にある資料をもう一度見直して、整理しておいてほしいと言われていたのだ。
(要さん、もしかして今回の人事調査のこと、わかってて指示出したのかなぁ?)
そんな予感も当たってそうで、要さんの底知れなさを感じる。北条一族だからという理由だけで、若くして部長職になったわけではない、と私だけでなく誰もが分かっているだろう。