S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
私はぐっと唇をかむと、気になることを聞いてみた。
「それは……どれくらいの時間の想定でしょうか……?」
「時間って……。え、なにか勘違いしてる? つまり、ワンナイトよ。一夜さえともにすれば、身体で落とせると思ったんでしょ」
「……?」
どんどん意味が分からなくなっていく。
眉を寄せていると、如月さんが心底驚いたような顔をする。
「本当にわかんないって顔してるけど、マジ?」
「一晩ともに……って。夜なんか別になにもすることないじゃないですか。店もほとんど閉まってるし」
私が言うと、二人ともあんぐりした顔をする。
いや、なんかその反応がすんごい恥ずかしいんですけど……。
私の家は昔から厳しく、習い事の類は毎日あったので、友達と遊んだ記憶もほとんどない。その上、学校での友だちもそういう事には疎い部類だったので余計だ。
時々、自分の感覚は人と違うのだろうか、と不安になる。
かといって、そういう事に多少興味が湧いた結婚以降も、『こういうことは自分以外には聞かないように』と要さんが強く言ったので、私は誰にもそういうことはあまり深く聞けずにいた。