S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――次の日の朝。
チェックアウトして、朝の飛行場にタクシーで向かう。
タクシーの助手席に座る私に、後部座席で要さんの隣に座っている如月さんが心配にそうに言った。
「七瀬。どうした? なんだか元気ないみたいだけど。声も掠れてるし」
「き、昨日飲みすぎました」
本当は飲み過ぎなんかじゃない。
結局昨日は、最後までする覚悟を決められなかった私に……
要さんがいつも以上に全身に触れて口づけて。
それで、朝方まで散々言葉にならない声を出していたから。
「そうか? まぁ、俺もだけど……っ!」
そう言ったとき、如月さんの声が詰まる。
「如月さん?」
気になって振り向くと、如月さんは真っ赤な顔をして私の首辺りを見ていた。
「お前、それ……」
「へ?」
「いや、なんでもない」
私は首を傾げて前を向く。するとあくびが出てしまった。昨日ほとんど眠れなかったせいか、タクシーの揺れで眠くて……。
少し目を瞑ると、昨日の夜、間近で見えた要さんの男らしい顔や、全身に落ちる唇の感触、そして、優しく触れる指先ばかり思い出された。