S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
―――夜。
寝室のドアを開くといつも通り、要さんがベッドで本を読んでいた。
私は要さんの顔を見ないように下を向いて、失礼します、と要さんの隣に収まる。
隣にいる要さんの息づかいを感じて、勝手に心臓がドキドキと音を立てる。
「どうした?」
要さんはすぐに本を閉じ、私の方を見る。
「いえ……」
「ほら、気になることがあるなら言いなさい」
そう言われると、黙っていることは私にはできない。
きゅと唇を噛み、でも要さんの方が見れなくて、そのまま自分の手を見ながら口を開いた。
「ひ、秘書課の和島さんに告白されたんですか?」
告白、と少しぼかしてみたが、要さんは、少しの間静かになる。
それから、
「誰から聞いたんだ」
と問われた。
それは、イエスと言う意味だというくらいは私にもわかる。
「……本当なんですね」
じゃあ、返事は? と、聞きたかったけど、なぜか聞けない。
どう返事されても、それ以上どう返していいのかわからないということもあるのかもしれない。