S系御曹司は政略妻に絶え間なく愛を刻みたい~お見合い夫婦が極甘初夜を迎えるまで~
 私は思わず、

「あの……あの、少しお時間いただいていいですか⁉」

と聞いていた。

 それから自分がなぜそんなことを言い出してしまったのか、自分で自分が分からなくなる。
 私が慌てたのが伝わったのか、

「ごめん。今から会議なの」

と槙野さんが断ってくれて、私は自分から言い出したくせに少しほっとしていた。
 しかし槙野さんはにこりとして続ける。

「でも、よければ今夜、一緒に食事でもどう? 如月くんも」
「はい、ぜひ!」

 如月さんが勝手に答えた。
 そして如月さんは私の方を見て、肘でつついてくる。

「……はい」

 私は少し緊張しながら、そう頷いた。
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